MSM-07S シャア専用ズゴック

1/100 MG ズゴック 使用

今回水陸両用MSを作成するに当たって水陸両用とはどういうものなのかということ を考えました。
イメージソースは実在のソビエト原子力潜水艦の事故を題材とした作品「K-19」を 観たことから発想しました。
このMSがどういう仕組みで水中に潜ったり浮上してきたりできるのかということに 着眼を置き潜水艦についてインターネットでいろいろと調べたのですが結局、たいし た情報も出てこなく「K-19」のパンフレット写真を参考にコンセプトデザインして みました。

まず、最近のガンプラ作成においてよく神経質気味に行われている作業として「ひ け」処理がありますが「ひけ」というものは本来理にかなったものかもしれません。
なぜならこんな巨大な兵器の外板がゆがみも無く表面がスムーズなことはめったに無 いことでしょう。
MSに比べ小さな実在の自動車でさえ光に照らして表面を見てみる と「うねり」が見えるのが分かるはずです。
そこで「K-19」の映像で気付いたのですが外板のプレート単位に裏のフレームに 沿って凹んでいたりしているのです。
当然、通常の3倍暴れるアズナブルさんなんだ から水中にも過激に潜ることでしょう。その結果、水圧により外板が機体内部側に押
され凹んだりゆがんだりするわけです。「K-19」の映画でもそういったシーンがあ りました。
その表現を頭部に施してみました。MGズゴで不評のモノアイスリットの支柱を今 回、逆に活かしてプラバンで頭頂部に向かって裏フレームを表現し、そのフレーム間 にパテで外板の凹みも表現しています。
模型誌で遮音タイル表現をしているズゴックやグラブロがあったのですがこの表現も
しようかとは考えましたが今回はしていません。

あと、潜水艦としての機能としてバラストタンクによる潜水・浮上があります。それ
を行うための排水スリットをボディの数箇所に設けています。
 
このMGズゴは大変いいキットだと巷では言われていますが(たしかにいいキットで す)ようく見ると、どうも本来のズゴのラインでは無くなんとなくおかしいように思 えます。
まず、頭部から肩にかけてのラインで段差がきつすぎ、まるで灯台や灯篭の様に見え ます。何がおかしいんだろと考えてみるとモノアイスリットの支柱がほぼ垂直に立ち 上がっているからです。熱を加え支柱の角度を斜めになるよう変更しました。
キットのモノアイシールドは支柱と離れていて一体整形になっているのですがこれで は強度が足らなく水圧に負けてしまうだろということで透明のプラスチック板(商品 パッケージとかのやつ(笑))で新造し支柱に隣接させました。
それともっとおかしいデザインがあるのですが、真横から見てみると良く分かるので すがモノアイスリットが前方から後方にかけてS字カーブを描いているのです。(正 直なんじゃこれって思いました)こういったところを踏まえ上半身全てにパテを盛り
形を修正しました。(肩幅も狭くてこれでは寸胴状態なので逆三角形体系になるよう 延長)
これでポッコリ頭が飛び出ている感が無くなったと思います。

ジムを貫かせる為とより獰猛なイメージにする為、爪を巨大化。

劇中でシャアが空からジャブローに降下している時、対空砲をよける為にすばやく真 横に飛んでいました(量産型はよけることが出来ず撃墜されていました)AMBAC システムなるものが最近の設定にあるみたいですがここはカニ横飛びスラスターを腰 側面に付けてみました。

あとモノアイのカメラ自身が光るのは私的にはリアルじゃないと前々から思っていた のですが、そこで考えてみました。作品画像ではモノアイシールドを曇らせすぎたの で見にくいですが、モノアイユニットの最中心部に発光する部分を、その左右に本当 のカメラを小さなHアイズで配置しています。左右に分けることで2点間差異により 立体視できることとズゴの場合モノアイがニュートラルポジションにある時、真ん中 の支柱が邪魔で前を見えないという不具合?も解消できます。

今回はディテールアップならぬディテールダウンもやっちゃってます。最近、流行りのように機体各所に長方形の小さな穴がまるでデザインの間埋めの為の様に施されてますよね(SEED物以降特に)。何かその存在理由があればいいんですが、意味の無さげな部分のディテールは排除しました 。



頭頂はくり貫き、ソナーや潜望鏡を搭載しているようにしてみました。頭部6箇所の ミサイルなんですが、弾頭が見えているのがなんとも危なっかしいので内部に収容し ているイメージとしました。

水中時の巡航時には頭を前にして進むようですがこれではモノアイで前方の映像を映 し出せないのでは?ということで両肩にカメラと水中を照らす為のサーチライトを付 けてみました。

頭部は脚・腕に比べ水分がやや半乾きの表現をする為、半光沢塗装としています。
ミサイル発射口やダクトに水が溜まっているのが分かりますでしょうか?


コクピットハッチ左右にあるダクトそれぞれ内側のラインが階段状なので切り取り斜 め一直線になるように。
外側もなぜか肩のラインにあっていないデザインになっている のでラインにそうようにカット。それに伴い一番上のダクトフィンの長さを延長しています。


 

ジャブロー上陸後、舞い上がった土が足元に被っています。その層の上を機体内部にまだ残っている水が垂れ、水の筋ができているという表現を施しています。


●塗装

私自身の新しい表現としてパーツによって光沢有りとつや消し部分を分けてみまし た。
ジャブローへ上陸して暴れまくっている設定としているので足・腰・手などは先に水 分が乾燥し、頭・胸などはまだ乾ききっていないとし半光沢塗装としています。

胴… ガンダムカラーCG21ピンク2 +Mr.COLOR3レッド + Mr.COLOR33つや消しブラック(実際は納得いく色調にする為、何重にもいろんな色で調整して塗り重ねています。)

腕・脚… Mr.COLOR81あずき色 + Mr.COLOR33つや消しブラック

間接ジャバラ部 … ガンダムカラーCG101ファントムグレー + Mr.COLOR33つや消しブラック

●ウェザリング

、「水陸両用ならではの汚れ方とは??」という事で考えて みました。
シャアはこの新しい機体に乗ってジャブローに攻め入るのですが。当然、シャアカスタムを開発するにあたり海中でのテストが幾度と無く繰り返されているわけですから ピカピカではなくそれなりには汚れているはずです。
しかし、意味不明にメタメタに汚すのも避けました。

当然、通常の3倍暴れるアズナブルさん(笑)なのですから土を舞い上げて表面に 残っている水分と混ざり合い足元から泥汚れが発生します。
あと、頭部のミサイル口にも水が溜まってしまうのでその前に水抜き穴をもうけそこ から水が流れている表現をしています。これはエナメルの光沢のあるクリアーで表現。
各排水スリットからも流れ出ているようにしています。ところどころに溜まったまま の水のキラメキ感が分かるでしょうか?
あと爪はヒートホークと同じような原理で相手を熱により貫く設定としシルバーを下 地に数色のクリアーカラーで焼け表現をしています。


この作品はToMoSさんの水陸両用専門サイト「カニアナ」の第一回コンペ「カニコン」へ投稿しました。



K-19:THE WIDOWMAKER

2002年 アメリカ

製作総指揮:ハリソン・フォード

監督:キャスリン・ビグロー

出演者:ハリソン・フォード 、リーアム・ニーソン 、ピーター・サースガード

1961年-

ソ連は世界を2回壊滅できる核兵器を所有

米国には世界を10回壊滅させる核があった

だが両国は核軍備を増強

米国は原子力潜水艦を出動

レニングラードとモスクワを射程距離にとらえた

事態は一食触発

果たして先制攻撃を仕掛けるのはどっちか…


ロシアの原子力潜水艦K-19は処女航海を行っていた。艦長アレクセイ・ボストリコフ(ハリソン・フォード)はあまりにも厳しい訓練を乗組員たちに課していた。それを見かねた副長ミハイル・ポレーニン(リーアム・ニーソン)はボストリコフとしばしば意見を対立させるのであった。唯一共通するのは海軍と祖国への忠誠心であった。
そんな中、モスクワはK-19に運命の任務を課す。米国の東岸沿いのミサイル哨戒を命じたのだ。しかし、艦内原子炉の冷却装置にひびが入り放射能が漏れ始め炉心が加熱し始めたのだ。1000度に達すれば炉心溶融(メルトダウン)が起こり、大惨事は免れない。果たして乗組員たちはこの危機をどう乗り切るのか!


1961年にアメリカとソ連の冷戦時代に起こった実話に基づいて作られた作品である。私の大好きな俳優ハリソン・フォードが出ていることもあり映画館へと足を運んだのだが映画を見進めるうちにそんなファン的感覚はとっくに消え去りその史実の重大さ、K-19乗組員たちの仲間たちへの命を懸けた行動に私の心が圧倒されてしまいました。
平和な日本でなんの脅威にもさらされること無く生きている私たちへも非常に多くのメッセージを投げかけられる映画と言えます。


K-19
ソビエト連邦初の弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)。
所属:ソビエト連邦海軍/全長:114.1メートル/乗組員:128名
1959年に浸水後、1961年7月4日の原子炉事故を含め、数回の度重なる事故を起こし、「ウィドーメーカー(未亡人製造艦=誰も生きて帰れない艦)」「ヒロシマ」の異名を持つ。